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偶然の産物。

2025/1/28

毎朝、出勤するために自家用車のエンジンをかけると、カーナビが「今日は〇〇の日です!」と知らせてくれます。今日1月28日は「セレンディピティの日です!」と明るい声で教えてくれました。セレンディピティ……あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、私の大好きな言葉のひとつです。「セレンディピティ」とは「偶然見つけたあるものに、新たな価値を見出し、奇跡や幸せを生む能力のこと」です。1751年の今日、イギリスの小説家、政治家であるホレース・ウォルポールが友人宛の手紙の中で、セレンディピティという造語を「素敵な偶然に出会う」といった意味で初めて使ったそうです。ホーレスが書いた『セレンディップと3人の王子』の中で、王子たちが旅先で優れた能力や才気によって、有益なものを偶然発見して手に入れるという話に由来しています。

私が「セレンディピティ」という言葉を知ったきっかけは、ある文房具が生み出されたストーリーを読んだ時でした。皆さんも日常的に使っているその文房具とは「ポストイット」です。ポストイットはアメリカの世界的化学・電気素材メーカーである3Mが開発した商品です。3Mの研究員が強力な接着剤の開発をしていたところ、粘着性の弱い製品ができてしまいました。当初、この製品は失敗とされていましたが、あるとき一人の研究員が楽譜から落ちるしおりを見てアイデアを思いつきます。「この接着剤の粘着性の弱さを活かして、本のしおりが作れないか」とひらめき、ポストイットが商品化されたそうです。ポストイットは今では付箋(ふせん)として、世界中に広まっています。偶然でき上った粘着力の弱い接着剤をヒントに新しい商品が誕生したこのエピソードこそが、「セレンディピティ」だというのです。
自分が意図していない行動や出会いから、新たなアイデアや解決策が生まれることは私も体験したことがあります。好奇心の強さだけまだまだ自信がありますので、普段から見たり、聞いたりするものの中に役に立つヒントを探してしまいます。そこから見つけたヒントから、何か新しいものが産まれることもあるはずです。「セレンディピティの日」をきっかけに、これからも何事にも好奇心を持って、意識的に行動していきたいと思います。視点が少し変わるだけで、セレンディピティを起こす確率も高まるはずです。偶然の出会いが、私たちをもっともっとハッピーにしてくれることを願っています。

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