2024/10/18
昨日の自宅学習日を挟んで、今日から中間考査も後半戦です。今朝も早くからあちこちの教室で試験勉強をする姿を目にしました。残り2日、ラストスパートで頑張っていきましょう!
私の趣味の一つが読書です。小説やノンフィクション、ビジネス書から新書までジャンルを問わず、面白そうな本を選んでは手当たり次第に読んでいます。一度に何冊かの本を並行して読む癖があるため、たまに内容が混同してしまうこともありますが、気分転換とリフレッシュには最高の時間です。ここ数日手にしている本の一つは、次女に薦められて読み始めた小説です。タイトルは「宙(そら)わたる教室」。折しもNHKが制作したドラマの放送が最近始まったところですので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
この小説は大阪府のある定時制高校での実話に着想を得て書かれたものです。年令も境遇も、抱える事情や悩みごともさまざまな生徒が集まる定時制高校で科学部を立ち上げ、限られた設備と予算の中で活動を続けてきました。その結果、2017年の「日本地球惑星科学連合大会 高校生の部」で見事に優秀賞を受賞しました。また、彼らの実験装置がJAXAの目に留まり、「はやぶさ2」の基礎実験に参加するような事態も起こったそうです。この実話をもとに書かれた小説では、個性的な登場人物が正に青春ドラマといえる紆余曲折を経て成長していく様子が描かれています。作者の伊予原新(いよはら しん)さん自身が大学・大学院で地球惑星科学を専攻されていたとのことです。小説のあらすじはここでは割愛しますが、その小説の中に「オポチュニティの轍(わだち)」と呼ばれる写真が取り上げられています。それは火星探査機オポチュニティが、自分の来た道のりを振り返って写した写真で、火星の荒涼とした大地に二本の轍がくっきりと写っているものだと紹介されています。オポチュニティの運用期間は、設計段階では約3カ月と想定されていましたが、実際には着陸してから14年半の長きにわたって活動を続けました。砂嵐が激しく荒涼とした火星で、たった1台で探査を行うというミッションは想像を絶するものだったことでしょう。その探査を想定の50倍を超える期間続けたオポチュニティ、機械を超えた生命力ともいえる力強さを感じずにはいられません。そのオポチュニティが自身の進んできた道をふり返って撮った写真が「オポチュニティの轍」です。小説には実際の写真は掲載されていなかったので、早速インターネットで検索してみました。見事に火星の大地に刻まれたその二本の轍を見た時、なんだか無性に勇気が湧いてきました。歩んできた道の後ろには、歩んだ分だけ轍ができる。そこには苦労や困難を乗り越え、一歩一歩進んできた足跡が必ず刻まれているのです。毎日毎日を前進していくことの意味をオポチュニティに教えられた思いでした。最後まで読み終え、とても清々しい気持ちになった小説でした。ドラマの今後の展開も楽しみにしたいと思います。