2021/2/16
一貫6期生 東京大学理科Ⅰ類合格!!
~東大合格 一貫生、2年連続3人目~
本校中高一貫クラス6期生の矢内大雅君が学校推薦型選抜(旧推薦入試)で東京大学理科Ⅰ類に合格しました。
中高一貫6期生はまさにIB(国際バカロレア)MYP1期生でした。その6年間の集大成とも言える大きな成果に学園は沸き返っています。
中3授業(IB物理:エッグドロップ)
中3体育祭(矢内君:右)
矢内君は中1から本校生物化学部に在籍し、高校1年時に国内最大級の中高生のための学会、「サイエンスキャッスル」関東大会において「自動受粉ロボット ポリネロイド」の研究について発表し、東京工業大学賞を受賞しました。
「自動受粉ロボット ポリネロイド」は、世界的に減少傾向にあるミツバチの代替として、果実等の人工授粉を行うロボットを開発する研究です。将来的には、農業の人手不足と食糧問題を解決することを目指しています。
「サイエンスキャッスル」関東大会(矢内君:中央)
翌年、宇都宮大学にて開催された「栃木テックプランター」に参加し、プレゼンとポスター発表を行いました。テックプランターは、起業前の個人・ベンチャー企業を対象として、技術や情熱を持った人を発掘・育成する取り組みです。技術と情熱を持った大人達が集まり、世の中を変える技術を本気でプレゼンしあい、協力できる仲間探しをしていました。発表者は、大学の研究者がほとんどで、矢内君ら生物化学部は高校生での唯一の発表者となりました。
「チームメイトそれぞれの得意分野が活かされていてすごい。」
「自分たちの好きなこと、やりたい事を今後も思いっきり取り組んでほしい。」
「今やっていることは本当にすごい。このまま続けていけば、大学生の研究を超えていける。」
発表後には、大学の研究者や企業、栃木県庁の方々から、様々なアドバイスやコメントをいただきました。
そして、この研究をベースに東京大学に挑みました。
栃木テックプランター(矢内君:左)
また、新型コロナウィルス感染症拡大のため、従来の形を大きく変更し実施した本年度の昌平祭(昌平文化ウィーク)。実行委員長として、様々なアイデアを出し、取りまとめ、運営の舵取りをしたのも彼でした。
昌平祭(昌平文化ウィーク)実行委員打合せ
先に述べましたように、彼の学年はIB(国際バカロレア)MYPのⅠ期生です。生徒全員を対象に授業を実施する日本でも数少ない学校の一つが昌平中学校です。そのプログラムはいわゆるアクティブラーニングが主体でグループディスカッション、ディベート、プレゼンテーションそして論文など生徒同士、および生徒・教師間がすべて「対話」でつながります。コミュニケーションが必ず中心にあり、そのスキルが自然に向上していきます。
東京大学を学校推薦型選抜(旧推薦入試)で受験するということは本当にIB教育の集大成と言えますし、そこで合格は本当に喜ばしく価値のあることだと関わったすべての教職員は感じています。
矢内君本人も、IBで得られたこととして、「とにかく書くこと、記述力が身についた」「教科を超えた教科横断型の授業によって常識にとらわれない広い視野や発想の獲得につながった」「プレゼンテーションのスキルはIBの授業抜きでは考えられない」と言っています。
大学では医療に工学的視点をもってアプローチしていきたいそうです。
矢内君、合格おめでとうございます。
矢内君より、昌平中学のみなさんへ
―中学生へのメッセージ
何事もやる前からあきらめていてはだめだ。世界中で無数に溢れる私たちが挑戦可能なこと、そのうち実際にやったことがあるのは1%にも満たないだろう。それは高校生、大学生、そして大人になっても変わらない。だから、いくつかのことが出来ないからと言って自分は何もできないと思い込み、自分にとって新しいことに挑戦しようとしない姿勢は自分の可能性を狭めることでしかない。そしてこれは、まだ誰も挑戦したことのない未知のことに関しても言えることだ。ほとんど情報がないのだから、失敗してしまうのではないかと心配するのは当たり前のこと。でも、実際に失敗したと思っても、それは本当に失敗と言えるのだろうか。それが成功なのか失敗なのかは自分が勝手に判断しているものでしかない。このように定義が不確かなものよりも、新しいことに挑戦したという事実のほうが、長い目で見れば自分にとっても他人にとっても重要なものになる。失敗を全く恐れるなとは言わない。適度に恐れ、それ以上に普段から成功を想像するようにしてほしい。
もちろん、一人ひとりには向き不向きがある。僕自身も他の人が出来るのに、なんで自分はできないのだろうと悩んだ時期もあった。ただ、少し考えてみてほしい。例として勉強を挙げると、予習復習が大切と先生から何度も言われる。これはその先生にとって、もしくは一般的にはあっているのかもしれない。でも、さっき言ったように、人はみんな同じようで異なっている。自分は他人と良い意味で違い、その勉強方法があっていないのかもしれないと考えるのはどうだろうか。そうすれば、そこであきらめるのではなく、自分に合った方法を探すという次のステージへ進める。
最後に、高校生について。中学を卒業し、子供としては扱われなくなる。そうは言っても、まだ大人でもない。このように不安定な時期だ。それでも、なにかを自分自身で考え、決める機会が格段に増える。先が不安になることもあるだろう。そういう時に覚えておいてほしいことがある。それは、自分の弱さを認めるということだ。不安になっていることを隠して強がるのは、自分の精神をすり減らすだけだ。自分とはそのようなものであると自分の個性として認めるようにしてほしい。それと同時に、他人も認めるようにしてほしい。見た目では何も心配事などないように見えても、心では無理をしていることがある。他人と自分の違いを認め、その他人と他の他人との違いも理解することで、世界を広く見る力を鍛える一歩となる。
この先は今まで以上に大きな困難が待ち構えている。でも、それを乗り越えた先には今まで以上に広い世界、まだ誰も見ぬ世界が広がっている。本質的に可能性が0%というものはないのだから、可能性が0.01%だとしても、希望を捨てずに挑戦し続けてほしい。大学生活が落ち着いたら、昌平中学に立ち寄ろうと思っているので、その時は見かけたら是非声をかけてください。皆さんが将来日本、そして世界で羽ばたくことを想像しながら、応援しています。